こんばんは。今日も、もうひとつ書いていくよ。
学校の帰り道、
一本裏を通ると、そこはもう学区外。
違う小学校の領域なんだ。
でも、そこを通る近道もあり、
僕は、たまにそこを通って帰っていた。
僕と一緒に帰ると、帰りが遅くなる。
そんなクレームが友達の親から相次ぎ、
僕は1人で帰ることが多くなっていた。
途中に塾みたいなのがあり、
そこに犬がいた。
おとなしいの。まず吠えない。
僕はその犬が好きになり、
たまに頭を撫でに行く。
暑い夏の日でした。
この犬の頭を撫でたあと、
自分の鼻の下の汗をぬぐったら、
いやだけど、もう一回嗅ぎたくなる臭いがした。
こいつの頭、くせぇ!!!
ちょっとした衝撃。
頭皮が臭い犬がいるのか…
1人、僕はニヤニヤした。
雨の日。
近寄ると、小屋から出てきて、
伸びをする。か、かわいい…
今日も頭を触る。うははッ!!臭え!!
しかも、こいつの頭を撫でたあとの、
僕の手のひらは、雨を弾いた。
防水効果もあるらしい。
この犬が可愛い。
高齢な犬なのか、ほんと吠えない。
そして、優しい目で僕を見る。
僕は、花を摘んできた。
ハルジオンという、ちっこい花。
幼なじみから、この花の名前を聞いて知っていた。
この犬の耳に付けてあげたんだ。
すげぇ可愛い。花が似合う。
…この時、まだ僕は知らなかった。
この家の人は、この花の名前を
『貧乏草』と呼んでいる人だという事を…
今日も近道。
あの塾の前を通る。
あ、いた!!
お花、お花と…
僕は、ハルジオンを摘み、
犬の耳に付けてあげた。
『オィ!!』
僕は肩を押され、よろめいた。
立ち上がると、大きい男の人が立っていた。
中学生くらいかな??
『お前か!いつもコロをいじめるのは!!』
次の瞬間、お腹にパンチを喰らう。
ぐあああぁッ!!苦しい。痛いし息が止まる。
こいつ、空手かなんかやってンな…
うずくまる僕に向けて、そいつは言った。
『勝手に、ひとんちに入ってきて、
コロをいじめやがってよぉ。
貧乏草を耳に入れて、舐めてんのか?
もうやるんじゃねぇぞ!
コロの気持ちがわかったか!!』
は、はひ…
コロ…いつもこんな気持ちだったのか…
臭い犬との別れは、空手パンチでした。