ただなんとなく生きてます

僕が天に召される日まで、ちまちま書いてみるよ。

あの高さなら

こんばんわ。今日もただなんとなく書きます。

 

小学校2年まで、品のいい友達が1人いた。

 

小1で仲良くなり、よく遊んだ。

 

家に行くと、当時は珍しい

 

近隣でも一番背の高いマンションにいた。

 

そのマンションの下に、小さな公園がある。

 

時々そこでも遊ぶんだけど

 

大抵は、そいつの家の中。

 

 

独特の品の良さが伝わる室内でした。

 

玄関上がると、モルフォ蝶が並び

 

アルマジロの剥製があった。

 

どっちも、普段見ない生き物だから

 

しばらく見つめちゃう。

 

また、お母さんが優しいんだ。

 

子供の目から見ても綺麗な顔だし、

 

一緒にゲームで遊んでくれた。

 

3人で、ゼリエースを作ったりしたよ。

 

スーパーマリオで、このお母さんが

 

階段の無限UPをやってる姿を見た。

 

レアな姿ではないでしょうか。

 

この人の父親は、どんな仕事をしてるのか

 

聞いてみりゃよかったなぁ…

 

 

ある日、少し早く着きすぎたから

 

公園で時間を調整した。

 

ベンチに、見覚えのある人がいた。

 

同じ地域に住むおじちゃん。

 

なんでこんなところに…

 

脅かすつもりで声をかけてみた。

 

少しも驚かず、僕の頭を撫でて、

 

こんなとこまで来て遊ぶの?って

 

優しく笑うんだ。

 

おじちゃんはタバコ吸いに来たと言った。

 

そして、マッチでタバコに火をつけた。

 

『おじちゃん、またね!僕、友達の家いくー!』

 

そんな感じで別れた。

 

 

友達の家に上がってすぐでした。

 

人が飛び降りた!!って騒いでる。

 

友達のお母さんは、僕らにそれを見せなかった。

 

 

帰宅して、おじちゃんの死を知った。

 

6階から飛び降りた。

 

6階には、靴とメガネと、

 

タバコとマッチが揃えてあったとか。

 

 

次にこのマンションに来た時に

 

人から聞いた場所に立ってみた。ここか…

 

見上げると、自転車置き場の

 

薄い石みたいなやつで出来た屋根が

 

少し壊れていた。

 

 

友達は引っ越すことになり

 

このマンションには近寄ることがなくなった。

 

引越し先の横浜で、クラスに馴染めず

 

寂しい思いをしていると聞いた。

 

先生が図工の時間に、

 

彼への手紙を作ろう!と言い

 

45人分くらいの手紙を作った。

 

僕はそこに、温めた友情の言葉を書き、

 

彼を喜ばせたくて

 

よく一緒に遊んだ、

 

『カタカタくん』を入れた。

 

しかもレアなやつ。銀色。

 

 

後日、手紙の返事が来た。

 

僕の手紙は届かなかったみたいで

 

なんでくれなかったのかと書いてあった。

 

変な終わり方をした友情だった。

 

さらに後日、銀色のカタカタくんを持ってる奴がいて

 

僕の手紙からとったやつだと確信したが

 

もう、過ぎた話。責めることはしなかった。

 

 

大人になった時、

 

マンションの管理人をしている友達ができた。

 

ある日、彼はいう。

 

『この前さ、リュック背負った奴が

 

うちのマンション見上げててさ、

 

やばいと思ったら、やっぱりやられた』

 

 

その時、僕の頭には、友達が引っ越して以来、

 

2度と近寄ることのなかったマンションが

 

かなりリアルに思い浮かんだんだ。

 

薄曇りの中、6階を見上げ、

 

チャリンコ置き場の屋根が壊れていたのも…