ただなんとなく生きてます

僕が天に召される日まで、ちまちま書いてみるよ。

時計と黒猫

おはようございます。

 

僕の父親は、2人の息子の育て方を

 

実験してみたと話している。

 

植木で例えると

 

兄は剪定、僕はそのままといった感じ。

 

兄は、父親にガンガン殴られて蹴られ

 

僕は、特に何も言われなかった。

 

兄が子供の頃描く絵は、いつも背景が紫で

 

心理的にも何かあったんだろう。

 

その絵を見てまた殴られる。

 

グレるまでに時間はかからず、

 

やがて、力関係は逆転した。

 

 

僕はと言うと、17:00の鐘が鳴ったら帰る

 

そんなルールを守らない。

 

だらしなさがあふれる子供。

 

近所で誘拐があり、たしか亡くなった気がした。

 

それを心配したのか、

 

僕の知能を見ようとしたんだろうね。

 

時計を持ってきて、僕の前に置いた。

 

これは何時だ?

 

いくつかの質問に答えた。

 

質問が少し変わり出した。

 

この時間の15分後は?

 

これの30分前は?

 

全部答えられない程でした。

 

怒鳴られ、頭をつつかれ、

 

外に出された。

 

耐性の無い僕は、その程度で泣き出した。

 

誘拐されないための事だとは理解してたが

 

暗くなるこれからの時間に外に出すなんて

 

ほんとに誘拐されちゃうじゃんかぁ…

 

僕は夕闇の中、しくしく泣いていた。

 

そんな時です。

 

暗闇から何かが現れた。

 

う、うわっ!!怖い!!

 

そいつは、素早い動きで僕の隣に座り、

 

僕の涙を舐めた。

 

うわああっ!

 

驚いたが、よくみるとネコ。

 

すごい大きな瞳で僕を見る。

 

ぬいぐるみしかさわれない僕に

 

ネコに触れるチャンスが訪れた。

 

ふわふわ!ぬいぐるみみたい。

 

その日からネコが大好き。

 

真っ黒いし、素早い。そして愛情深い。

 

雄だったのか、雌だったのか知らないが

 

僕の事を好きになった様で、

 

頻繁に現れるようになった。

 

 

ネコは、3軒隣に住む人の家のネコ。

 

大きなトラックの運転手で

 

自分が留守にする時に、ネコを外に放つ様だ。

 

そんな奴が、僕の友達になってくれた。

 

時々、背番号のついた赤いシャツとか着てきて

 

黒と赤の色彩に、暗闇でも見える様にしたいのかなと

 

飼い主の愛を感じた。

 

 

こいつ、悪いネコで、人の家の物を盗む。

 

そして、逃げながら僕を目指し

 

僕の目の前に、人の家から盗んできた

 

うどんをパサっと置く。

 

超迷惑だったが、うれしかった。

 

以来、このトラックドライバーが引っ越す日まで

 

僕とネコの交流は続いた。

 

 

別れの日は寂しくて

 

布団に潜って泣いた。

 

時は流れて…

 

無職でぼけーっとしてたら

 

NHKの歌を見た。

 

遊佐未森さんの

 

『クロ』という歌が流れた。

 

黒いネコが欲しくなったよ。

 

 

結局、時計は今でもあんまり読めない。

 

だからデジタル表示しか持ちません。