ただなんとなく生きてます

僕が天に召される日まで、ちまちま書いてみるよ。

時間の止まった空間で

こんにちは。今日もなんとなく書きます。

 

いつも同じ服を着ている僕を見て

 

その人は口を開いた。

 

『あんたの体型、息子と一緒だわ』

 

そんな事を言われた。

 

この人は子供がいたのか。

 

『聞いたよ、あんた、お散歩してんだろ?』

 

あは。誰か、口の軽いのがいるな。

 

続きもしないのに、もう習慣みたいに思われてる。

 

 

『息子の部屋に入っていいよ。漁ってみて。

 

なんか片付けられなくてそのままにしてるのよ』

 

 

…亡くなっているのか…

 

かましく、服をもらう。散歩用ね…

 

部屋に入る。ガチャリ。

 

綺麗な部屋…埃はあるが、

 

かなり整頓されている。しっかりした人なんだな。

 

昔、似たような事があり、その時は2人だった。

 

その時の人は、遺品整理の経験が豊富だった。

 

並んでる本や、CD、賞状などで瞬時に人をイメージ。

 

 

僕にはそんなのできないが、

 

持っていたゲームや、買ってる漫画で時間がわかる。

 

ドラクエ8と、モンスターハンター

 

太鼓の達人に、エースコンバット

 

アクションリプレイ…なつかしすぎる。

 

懐かしいプレステ2… あは。わかるわかる。

 

薄型の銀色に、白いやつ。

 

ケルトンの本体も一緒だわ…

 

オンラインをやっていたのだろう。

 

本体が3つもある。壊れたコントローラーまで…

 

僕もそうだった。やたら壊れたなぁ…

 

この感じなら、PSPもあるだろ…やっぱりな。

 

 

スポーティーなベストをもらった。

 

歩く時に着てみようか…

 

 

よくテレビで、事故で子供を失った人の部屋映るね。

 

あの時間の止まった感じ、辛いね。

 

使っていた物、作っている途中のパズル。

 

やりかけのゲーム。色褪せたプリクラ。

 

まだその部屋に戻るつもりでいたのがわかる。

 

 

服、もらっていきますね。ありがとう…

 

あるじのいない部屋につぶやく。

 

年齢まではわからないが、

 

15年以上前を生きてた人だ。

 

部屋の電気を消そうとした時、

 

自分の部屋と記憶が重なった。

 

モンスターハンターGね。ドスもか…

 

ふと視線を落とすと、小さな収納クリアケース。

 

調整ドライバーに、あ…

 

PSPの中のゴムを替える作業が途中だった。

 

そのゴム知ってる…Amazonだろ…

 

どこまで僕に近い事をしていた人なんだろう。

 

おやすみなさぃ…パチン。

 

人の気配がない2階の部屋に、

 

壁に埋設されたスイッチの

 

電気を消す音だけが響いた。