ただなんとなく生きてます

僕が天に召される日まで、ちまちま書いてみるよ。

可愛いコの前でいいカッコ

こんばんわ。今日もなんとなく書きます。

 

小学校の時、理科の授業で、

 

今ならやらなそうな課題がありました。

 

『生き物を飼おう』

 

42人の生徒に水槽が配られ、

 

必ず生き物を飼うというのです。

 

僕は生き物が好きで、採るのは楽勝。

 

翌日には飼育を始めた。

 

さすが虫博士!と言われる速さ。

 

僕が捕まえたのは、

 

『オオゾウムシ』といいます。検索カチッ。

 

おとなしくて、飼いやすい。

 

当時はなかったけど、今なら昆虫ゼリーがある。

 

これをあげれば、ずーっと食べてるよ。

 

 

先生はみんなをせかす。

 

『アリはダメ!早く捕まえてこいよ?』

 

みんなのぶんもとってやりゃあよかったかな??

 

だけど、捕まえた生き物を飼育するのだ。

 

餌も知らないといけない。

 

次に頭に浮かぶのは、カマキリくらいか…

 

 

 

めずらしく、女の子から相談された。

 

『あたし、カエルさんが飼いたい!』

 

『カエルさんって、どこならとれるカナ?』

 

このコは、モテモテなコで、

 

近くの小学校の生徒からも告白されるという、

 

超可愛いコでした。当然、僕は舞い上がる。

 

お、おしっ!今日行ける??

 

僕は、彼女を伴い、自転車で1時間の田んぼに行く。

 

カエルか…あそこなら喜びそうだ。

 

クワガタを採りに行く時に、田んぼを見ていた。

 

そこには、笑えるほどにアマガエルがいた。

 

 

 

完全に学区外。到着した時に、すでに夕方だった。

 

薄暗くなってきている。なるべく早く帰ろう。

 

お米の水田のような場所で、小魚までいた。

 

手を入れたら、なんか大きな黒いのが逃げた。

 

『あ!!見て!!魚ッ!!』

 

彼女は、それを捕まえようとして、

 

ものすごく驚いた顔をした。

 

黒に白いライン。…ヒルだ。

 

彼女は中腰のままジャンプして後退。

 

ジャンプしたところに鳥か何かいたのか、

 

ガサガサっと音を立てて逃げるのがいた。

 

うああっ!ヘビじゃん!!僕は叫んでしまった。

 

いきなりヒルに出くわし、あぜ道にはヘビ。

 

彼女は泣き出してしまった。

 

うあぁ…泣いた顔も可愛い…

 

 

 

い、いや、こんな遠くまで連れ出し、夕闇にして、

 

さらには怖い思いまでさせてしまった。

 

もう、速攻でカエルを採ってカエル!

 

下の水には目もくれずに、

 

2人で、米が実るイネを狙う。カエルだらけだ。

 

彼女は優しいから、友達の分まで採ると言う。

 

そこで僕らは、いや、僕は、失敗をした。

 

 

 

夕闇迫る為、カエルをよく見なかった。

 

でも、それを知らない人は、カエルを見ないよね。

 

そう…カエルの裏側を…

 

 

 

カエルの採り方を僕よりもマスターした彼女は、

 

自転車を止めた土のところからもカエルを採った。

 

『ねぇ!見て?土の色とおンなじ🎵』

 

ほんとだー!🎶 カエルって、色変わるねー🎵

 

彼女の笑顔が見れて僕は、超嬉しかった。

 

『このコ、茶色いから、ちゃーちゃんにする』

 

…なるほど。可愛い…

 

このコがモテる理由がわかった気がした。

 

あとは、無事に帰宅させて終わりだ。

 

まっくらになってしまったが、互いに帰宅。

 

充実感に満足しながら、ドラクエ3をやって寝た。

 

 

 

だけど、僕はもう一度、彼女を泣かす。

 

『ちゃーちゃん達に、怖いのが付いてる』

 

クラスの男子から、気持ち悪い幼虫を持って来たと、

 

いじめられてしまったのだ。

 

 

僕は、近所のお兄さんがよくやる手法の、

 

住んでたところの土と、葉っぱを敷き詰めて飼う…

 

それを実践し、うぬぼれていたのだ。

 

水は一切入れずに彼女に持ち帰らせた。

 

チャリで帰るから、水があると危ないかなと…

 

『中が見えないじゃん!』って言う、

 

彼女の意見を全部無視して

 

落ち葉や、大きめの葉っぱで水槽を埋め尽くした。

 

彼女も一晩、僕の言う事を聞いて、

 

そのまま玄関に置いてくれたのだ。

 

中を見たかっただろうに…

 

 

その結果、彼女は泣かされてしまったのだ。

 

先生や、男子生徒が手伝ってくれて、

 

カエルを水に移す際…

 

カエルに幼虫が付いていたのだという。

 

虫博士と言われて天狗になっていた僕も

 

その虫を知らなかった。見た時に僕は、

 

ゲンゴロウの幼虫だ!』と言った。

 

 

なんなんだろう…果物で言う、当たり年なのか

 

持ち帰ったカエル全部に付いていた。

 

帰る間際に採った、あの、ちゃーちゃんは

 

確か、裏返しで捕まえた。

 

彼女が、カエルについた土を払う際、

 

ちゃーちゃんと呼ばれたカエルはまばたきしてた。

 

そうだ!あの時、裏に幼虫なんかいなかった!!

 

あの愛くるしいまばたきのちゃーちゃんが

 

とてもとても、可哀想に見えた。

 

僕が入れた葉っぱに、この幼虫がいたとでもいうのか

 

 

 

本当に、こんな生き物は見たことがなかった。

 

彼女は、僕の事が嫌いと泣いた。

 

教室のカーテンが風で広がって、

 

僕と彼女の間に割り込み、泣いている彼女を隠す。

 

以来、僕らは、気まずい雰囲気のまま。

 

そしてクラスは変わりその後会話した記憶がない。

 

 

 

僕が憎むべきこの幼虫。

 

ゲンゴロウではなかった。

 

カエルの首に噛みついて、

 

3〜4匹ほど食い殺すのだという。

 

そんな虫が偶然、大発生していたのだ。

 

きっと、それに見合うカエルの数も多かったのだろう

 

その虫の名前は『オオキベリアオゴミムシ』

 

世の中には、

 

覚えなきゃならないことがたくさんあるのに

 

僕は、こいつの名前を忘れられない。

 

淡い恋心をぐちゃぐちゃにしてくれた。

 

 

あれから僕も歳をとり、

 

いい大人になった。

 

アマガエルを見つける事はあるのに、

 

この虫を一度も見たことがない。

 

なんなんだよ…あの水田…