ただなんとなく生きてます

僕が天に召される日まで、ちまちま書いてみるよ。

美術の先生

こんばんわ。今日もただ、なんとなく書きます。

 

今まで生きてきて、美術の先生って

 

みんな女性だったんだ。

 

美術は得意じゃなかったけど

 

なんか楽しいんだよね。

 

お面作ったり、埴輪作ったり。

 

友達を描いたり…

 

 

美術の教師が男性だった。

 

あら、めずらしい。そんな感覚。

 

楽しい先生で、とても可愛がってもらえた。

 

土器を作ることになった。

 

『好きなものつくりな』

 

先生は言う。

 

焼く前の薬は、先生が丹精込めて塗るそうだ。

 

僕は、大人になっても長く使える様に

 

灰皿を作った。

 

先生は笑う。

 

『土器だけども、土器だけども違う…』

 

先生は、僕の灰皿を手に取り、少し眺め

 

『これは焼きたくないやつNO1だ』

 

そんな事を言う。…えぇ…そんなぁ…

 

遊びに来た人全員で、吸い殻を入れられる様に

 

ツボであり、皿である。そんな形にした。

 

 

『後で特別に焼いてあげるから、そこに置きな』

 

先生はそう言ってくれたので

 

なんだ。焼いてくれるんじゃん!って

 

みんなのとは離れたところに置いた。

 

 

よし!みんな並べよう!

 

焼く時が来たのだ。

 

僕の友達は、僕に気をきかせてくれて、

 

少しできた隙間に、僕の灰皿を入れてくれた。

 

お…隙間できたか。間に合ってよかった。

 

ツボに皿を付けたせいで、

 

やたら場所をとるから心配だったんだ。

 

 

焼き上がる

 

先生が声を出した。

 

『あぁ〜!!これ、入れちゃったか!!』

 

僕の灰皿は、なぜか爆発して

 

みんなの土器を巻き込んだ。

 

他のクラスにもボンバーマンがいたらしく

 

成績には影響しなかった。

 

 

どうしても作りたい人は

 

放課後おいで!って事になった。

 

しばらくして先生が僕に、笑って言った。

 

あの日、何人来るか楽しみにしてたら

 

誰も来なかったんだって。

 

 

先生が僕に灰皿を作ってくれた。

 

緑色の美しい灰皿。

 

大人になってからも、僕はそれを使い、

 

大事にしていたのだが、

 

3回目の引っ越しの時、

 

手伝いに来た友人が、間違えて

 

中身を全部捨てるダンボールを車に積んで

 

中身は全部使う段ボールを捨てた。

 

何が入っていたのか思い出すだけで痛い。

 

その友達から受けた恩の方が勝るので、

 

僕は怒りもしなかった。

 

ただ、あの先生のヒゲ面が浮かんだ。