ただなんとなく生きてます

僕が天に召される日まで、ちまちま書いてみるよ。

工場勤務の思い出

こんばんは。今日もなんとなく書きます。

 

高校を出て最初の仕事を退職した。

 

無職になった。

 

朝から教育番組を見て過ごす。

 

[にこにこぷん] は、もう終わってたのか…

 

みんなのうた とか好き。

 

どのくらいの期間だか忘れた。

 

長い長い夏休みみたいな感じ。

 

 

いい加減、働くか…

 

重い腰を上げ、製造業に飛び込む。

 

 

普通は、復帰しても辛いよね。

 

でも、前職がサービス残業すごかったせいか、

 

楽すぎてしょうがない。

 

朝の体操を終え、3時を休んで、5時で帰る。

 

でも、友達はいなかった。

 

前職は、毎日人と接する仕事。

 

いつもニコニコしていた自分を変えてみる。

 

帽子を目深にかぶり、口数も少なく終わる。

 

僕を知ってる人が見たら驚くだろう。

 

でも本来僕は、こういう性格。

 

前職こそ、無理をしていたのかもね。

 

 

周りがすぐ休む中、僕は一度も休まない。

 

それが評価されたのか、暗い奴で気味悪いからか、

 

別な場所に飛ばされる事になった。

 

ネジを回したり、ハンダを使ったり。

 

得意ではなかったが、なんか好きだったのに…

 

 

次の場所は、エアコンの効いた建物。

 

昭和初期のバラックが職場だったのに、

 

えらい進化した場所に飛ばされたよ。

 

薬品を配合するのだ。

 

 

や、やべぇ…できんのかな…

 

配合比6:4とか渡された。

 

え…なにこれ…

 

新人の僕を担当する人は冷たい人だった。

 

『バカなのは知ってるから、ゆっくりやりな』

 

それだけ言うと、放置される。

 

15分くらいして戻って来て

 

『あーあ。ひでえの来たな』と笑う。

 

混ぜ方というより、作り方がわからない。

 

6:4からわからないのさ。

 

僕の頭は、小学校で止まってるからね。

 

 

『普通のやつよこせ!って言ったのに

 

バカを送って来たよ』

 

…聞こえるように言う事でもあるまい。

 

別になんとも思わないけど、

 

ここでやっていけるのか不安になる。

 

 

その時でした。

 

【おいちゃんのとこおいで】

 

白髪の人に話しかけられた。

 

僕みたいなアホでもわかるように教えてくれた。

 

おいちゃんも、元は、そこにいたらしい。

 

今は、訳あってそこを離れていたのだ。

 

後で聞いたのだが、

 

おいちゃんの娘さんが、車の免許をとった時

 

同乗したら事故に遭い、肝臓を潰したのだとか。

 

この部署では、有機溶剤なども使うので、

 

おいちゃんは遠ざけられていたのだった。

 

 

そんな経緯を聞かされたが、

 

おいちゃんにはその話をしなかった。

 

思い出すのだって嫌だろうから。

 

おいちゃんに懐いた僕は、明るく振る舞った。

 

社員食堂でも一緒だったし、

 

おいちゃんの社会人野球にも顔を出したよ。

 

 

すげぇ楽しくなって友達も増えたが

 

ある人から誘われた。

 

『うちに来いよ!もっと金だすぜ!』

 

仕事内容は同じで、お金がいいならそこだろう。

 

僕は、みんなに別れを告げた。

 

今思えば、それは失敗なんですけどね…

 

 

おいちゃんは寂しがり、僕にいろいろくれた。

 

【お前がいて、俺は楽しかった。餞別だ!】

 

見たことのない電卓をもらった。

 

今でも大事に持ってるんだ。

 

優しい人という言葉が出ると、

 

僕は、おいちゃんを思い出す。

 

まだ健在だろうか…80歳を超えてるな…

 

餞別でもらった電卓はこれ。

 

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もう、年代物っていえそうだね。