ただなんとなく生きてます

僕が天に召される日まで、ちまちま書いてみるよ。

声を出すほど驚いた時

こんばんわ。今日もただなんとなく書きます。

 

ある友達がいた。

 

お婆ちゃんと暮らしていた。

 

両親と妹が、車の事故で他界。

 

かなりの悲しみを背負っていた。

 

だけどそんな事、この人は語らないし、

 

後で人から聞かされた事でした。

 

 

遊びに行くとお婆ちゃんといる。

 

祖母を亡くした僕には羨ましい光景。

 

実際は、最後の家族として、

 

寄り添いあって生きているところだったんだ。

 

 

修学旅行なんかじゃ、

 

お婆ちゃんにお土産を買っている。

 

薄い紫のハンカチや、八橋。

 

2人で食べんだろうね。

 

中2で祖母を亡くした僕は、

 

彼の家の家族構成を知っているだけに、

 

2人の生活がずっと続いて欲しいと思った事がある。

 

誰かが前に言った。

 

『ネコと、じいちゃん、ばぁちゃんは、

 

中学になると死んでしまうから、

 

その時まで大事にしてあげて』と。

 

確かに、中学になった時、

 

友達の家のネコや、じいちゃんばあちゃんって

 

続々と力尽きた記憶がある。

 

 

彼のお婆ちゃんは、パワフルな人で

 

僕が高校を出ても元気そうに見えた。

 

『4人で古着を買いに行かない?

 

俺の車で行こうぜ!』

 

彼が言った。

 

免許を取り立ての僕らは、

 

カッコつけて都心に古着を買いに行った。

 

若さからか、住んでる地域がぬるいからか、

 

僕らは都心に車を路駐した。

 

彼は、お婆ちゃんの服まで買っていた。

 

優しいな…って思ったよ。

 

 

買い物を終えて戻ると、

 

車がなかったんだ。

 

今はもうないかな?当時は、

 

レッカー移動ってのをされたんだ。

 

車を探し、ヘトヘトになって帰宅する。

 

災難だったよ。高額で、都会の洗礼を浴びた。

 

ここは、初心者マークにも甘くない世界だった。

 

 

彼の家にリュックサックを置いていた僕は

 

他の2人を下ろした後、彼と一緒に帰宅した。

 

アパートの住人が声をかけてきた。

 

『どこにいってたの!!!大変だったのに!!』

 

僕らは理解が追いつかない。

 

ドアを開けたら、

 

2人で立ち尽くし、2人で声を出した。

 

『うあああ!!!』

 

赤いゼリーみたいなのが至る所に。

 

彼は、それをつまみあげ、血液だとわかると、

 

その場にへたりこんだ。

 

なに??何があったの!?

 

 

下血と聞かされ、

 

彼の祖母は、自分で搬送を手配したのだという。

 

至る所に赤いゼリーが飛び散っていて

 

凄惨すぎる状況だった。

 

今みたいに、携帯電話があれば

 

すぐに戻れた…だろうか。

 

彼はポケベルで、

 

僕はかろうじて、カシオのPHSだった。

 

家族のピンチに、出先でレッカー移動。

 

不運の連鎖ってやつだ。

 

 

天涯孤独となった彼は

 

しばらくは寂しい思いをしていたが、

 

今では4人の娘に囲まれて過ごしている。

 

今年の年賀状は、本当に幸せそうだった。

 

彼の幸せを見ると、僕まで嬉しくなった。